アルコール依存症とは
アルコール依存症
アルコール依存症と聞くと昔から男性がかかる病気だというイメージが強いですが、近年は女性の社会進出やストレス増加などの影響もあるためでしょうか、女性のアルコール依存症が増加傾向にあります。
アルコール依存症はアルコールを摂取したいという欲望(しばしば強く、時に抵抗できない)があります。
そのうえで、過去1年間で以下の6項目のうち、3項目を満たすことが必要とされています。

①渇望(かつぼう)
飲酒への強い欲望あるいは強迫感
非常に強いもので抵抗できないことが多いです。
②制御障害(せいぎょしょうがい)
飲酒行動(飲酒の開始、終了、量)をコントロールすることが困難
「一本だけ」「一杯だけ」が結局「また飲み過ぎてしまった」になってしまいます。
③離脱症状(りだつしょうじょう)
アルコールの効果が切れてくると悪心、吐き気、嘔吐、発熱、発汗、呼吸速迫、心悸亢進、頻脈、血圧上昇、不眠、頭痛、手指振戦、不安、焦燥、渇望などが生じます。
そのためアルコールを摂取すると上記の症状が軽減するため悪循環になります。
中等症以上になると、錯視(さくし)、錯聴(さくちょう)、幻視(げんし)、幻聴(げんちょう)が出現したり、筋肉がこまかくけいれんを起こす、硬くちぢこまる、全身けいれん発作などが生じる場合があります。
④耐性(たいせい)
当初得られていた酩酊(めいてい)の効果を得るために、飲酒量が増加すること
少量のアルコールでは全く快感が得られないため、もしくは③の症状が取れないためたくさん飲酒することになります。
⑤飲酒中心の生活:社会生活障害
飲酒以外の楽しみや興味を無視したり、飲酒のための時間やアルコールの影響からの回復に要する時間が延長する
ストレス発散方法がアルコールしかないという方が多いです。
⑥危険な使用
精神的身体的問題が起きているにも関わらず、飲酒を続ける
「寝坊して会社に遅刻した」「身体がだるい、しんどい」
「最近うつっぽい」「血液検査で肝臓や膵臓の数値が悪い」
「記憶がない」「暴言、暴力など他人に迷惑をかけた」
このようなことがあっても、認めようとせずまた飲酒してしまいます。
薬物療法
嫌酒(けんしゅ)薬 ノックビン / シアナマイド
数十年前から現在でも使用されている薬です。
この薬自体に飲酒の欲求を抑える作用はありません。
この薬のメカニズムは不快な症状(どうき、頭痛、吐き気など)を引き起こすアセトアルデヒドという物質を増やします。
アルコールに対して嫌悪反応を起こさせて断酒を継続させるというものです。
ご本人が理解されて内服する必要があります。
抗渇望薬 レグテクト
飲酒したいという欲求そのものを抑制する断酒補助薬です。
ヨーロッパでは1980年代から使用されており、断酒の維持や・継続に効果があると分かっています。嫌酒薬と違い嫌悪反応がないことが特徴です。
鎮静作用や抗不安作用や抗うつ作用などもなく、依存性もないと考えられています。
お酒をやめた状態がしばらく続いてから内服しないと効果が得られません。
他、症状に応じて抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬を使用することがあります。